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その12. 新しい発見2 かすかな線は水辺となって見える… |
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「山水の間」の床の間に向かって右手には大きな湖とも海ともも見える風景が描かれています。手前から向こうに細長くゆるくカーブして先が霞んだ陸が描かれており、これが天の橋立をイメージしたものであることは素人目にもわかります。そしてその上方に金箔の色ムラにより偶然そうなったとも見える水平のかすかな線があります。見ようでは天の橋立をイメージさせる陸地が大きく湾曲してその部分につながっているとも見えます。「山水の間」の廊下側から見るとぼんやりとした箔の境目のようでもあるのですが…。 ある方のご指摘をいただき、あるとき「山水の間」の上座(一段高くなったところ)から下坐に向かって座ってみました。お殿様の視点ですね。するとどうでしょうあの金箔上のかすかな線ははるか向こうの水平線と見えるではありませんか。上座からはこの絵を斜めに見ることになるのですが、正面からだと薄ぼんやりして金箔のムラとも見えた部分が斜めから見ることで少し密度を増した結果、光る水面となって見えるのです。高い位置にあると見えた水平線ですが、どうやらお殿様の視点からするとぴったりの目線であるようです。また、天の橋立の風景もより遠近感が増して見えます。横に広がった木の枝もお殿様の目にはキリリと枝ぶりのよい木立が近景を引き締めていると見えるのです。 床の間の壁面に描かれただまし絵のような手法をはじめ、応挙の鑑賞者の視点へのこだわりには驚くばかりです。 22 |
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