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その11. 新しい発見1 二間続きで絵を見る。 |
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「郭子儀の間」の南側に「孔雀の間」、東側に「山水の間」と「郭子儀の間」を角部屋としてL字に並んでいます。これまで私達は各部屋ごとにテーマがあり主題に沿った絵が描かれている、それらの部屋が曼荼羅を構成するかのように配置されている、という視点で大乗寺を語ってきました。すべての襖を閉じて絵に囲まれ、その空間体験をも含めて鑑賞するということでありました。しかし、襖を開けて隣接する部屋と二間続きで用いることもあるわけで、(むしろそれが日本の建築の特長)発見というのはここのところなのですが、あまりに日常的であるがゆえに看過していたともいえるのです。襖を閉じて鑑賞するという固定的な考えにとらわれていたようです。 つまり応挙は襖を開いて二間続きになった場合のことも考えて絵を構成しているのではないか、という驚きです。「郭子儀の間」の襖を開いて「山水の間」方向を見ると手前に郭子儀像が、そして「山水の間」の絵が遠く背景として配置されます。夜間暗闇に溶け合う空間に燭台を置くと、手前の郭子儀像の背景として遠くに島影と楼閣が浮かび上がるという幻想的な光景が展開されるのです。同様に「郭子儀の間」から襖を開いて「孔雀の間」を見ると子供の像の向こうに松の木立が配置されます。大きな松の幹のそばになんと小さな松(子供の松)が描かれ、「郭子儀の間」の子供の像と符丁をあわせるかのようです。 孔雀の間 郭子儀の間 山水の間 の三部屋はいずれも金箔に描かれています。金地は黄昏とともに無限空間となって溶け合い、燭台の下で昼間とは異なるもうひとつの表情を見せるのです。 |
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◆大乗寺を知る その1. 空間芸術家でもあった応挙 その2. 十一面観音と客殿 その3. 立体曼荼羅 その4. 大乗寺の立体曼荼羅(障壁画空間) その5. 客殿が曼荼羅になっていることがわかったのは? その6. 宗教的イメージの高揚を意図した間取り その7. 絵画空間と現実空間の接点 その8. 大乗寺の隠された符丁 その9. 行方知れずの絵 その10. 長くなった絵、短くなった絵 その11. 新しい発見1 二間続きで絵を見る。 その12. 新しい発見2 かすかな線は水辺となって見える… |
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