大乗寺 円山派デジタルミュージアム
Daijyoji Temple Digital Museum of the Maruyama School
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四季耕作図 呉春筆 寛政7年[1795年]について
 四季を通じての農耕の様子を描いており、農作業をする人達の無心に働く風景は働くことの喜び、実りと収穫や大地の恵みなど人の営みとその循環が表現されています。少し頭の大きい人物達は見方によっては現在の漫画や劇画に通じるところがあり、呉春独特の人物描写です。
また、この部屋は仏教上の方位で十一面観音の東に位置し、生産・経済を司る持国天の世界を農耕の図でイメージさせています。
 当初、呉春は俳人与謝蕪村について文人画を学びましたが、後に応挙の影響を受け四条派(円山派と並ぶ当時の流派であり、呉春が京都四条に住んでいたのでこの名があります)を創始する画家となりました。この四季耕作図は呉春と応挙との交流が始まって後の作品で、それ以前に描いた禿山の間の群山露頂図と比べても、その作風が違っているのがわかります。

◆群山露頂図と四季耕作図
 禿山の間の群山露頂図は呉春が蕪村の文人画の影響を受けていた時代の絵であるのに比べ、四季耕作図では人の動きや表情などがとらえられており、明らかに作風が変化しています。呉春が大乗寺の群山露頂図を描き、次に四季耕作図を描くまでの間に8年の時間の経過があります。大乗寺の襖絵を制作するにあたって応挙は親交のあった蕪村の高弟である呉春に参加を求め、やがて交流のうちに呉春は応挙に共感するところを見つけ、文人画の域から抜け出し独自の画風を完成させていく…その過程にあって四季耕作図が描かれた。こんなふうにも考えられるのではないでしょうか。

小壁 飛燕図 山跡鶴嶺筆について
 「農業の間」の東側面の襖と欄間の中間の横に長いスペースに描かれています。「農業の間」から「使者の間」へと画題とともに上昇していくイメージを象徴するかのように、高く飛翔する燕の姿を描いています。

欄間透かし彫りについて
 「農業の間」と「使者の間」の間にある欄間です。うねる波と崩れる波頭を大胆でシンプルな絵柄にまとめ、木目を生かして力のある波の動きを彫り出しています。
 大乗寺の欄間には海をテーマにしたものがあり、この欄間は二階の「猿の間」の「群猿図」の海が描かれている部分に位置が近く、その符丁が考えられます。


春 南面襖絵
春 南面襖絵

夏 東面襖絵
夏 東面襖絵

秋 北面襖絵
秋 北面襖絵

落款
落款


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