群仙図 秀雪亭筆 天明7年[1787年]9月について この部屋は仏教上の方位で十一面観音の北に位置し、生命・医薬を司る多聞天を不老長寿の仙人の絵でイメージさせています。 部屋のL字型の2面に描かれ、左面には8人の天女らしき一群と右面には仙人らしき男性7人と天女1人が配置されています。左から2番目は薬の壷を持った神農(薬の神)様といわれています。天女や仙人達は仙果といわれる品々を手にしており、その差し出す手と視線の方向には、かすれて見えにくくなってしまっているのですが、天空を鳳凰に乗って飛翔する女神(部分1)と雲に乗った女神(部分2)や鶴に乗った神(部分3)の姿が小さく描かれています。 右面の仙人たちは女神や神を送り、左面の天女の一群は空から降りてくるのを迎えるように見えます。天女や仙人の身に着けている衣服や霞む遠景のように描かれた滝や楼閣の屋根、山影などの風景は、遠く世俗を離れた仙境(仙人の住む場所)のイメージをうまく表現しています。
◆詳細のわからない絵師、秀雪亭 秀雪亭は残された作品が少なく生没年なども不明で、どのような画家であったのかはわかっていません。大乗寺の当初の天明7年の障壁画制作の参加者の中に嶋田元直、呉春らと並んで秀権九郎(秀雪亭)の名があるので、応挙の高弟であったことにはまちがいなく、号を秀喬卿としたという記録が残っています。 | |
図1
部分1
部分2
部分3
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