藤花禽鳥図 奥文鳴(源貞章)筆について この部屋は「山水の間」の東側裏になる武者隠し(要人の座の近くに警備の武者を隠しておく小部屋)にあたるところで、部屋というよりも廊下に近いスペースです。この部屋に襖はなく壁面に襖と同様の仕様で表装されたパネル状の表具がはめ込まれており、その上に描かれています。 藤の伸びゆく枝を余白を生かしながらリズムのある筆運びで大胆に描いており、作者のただならない感性と力量を感じさせます。白地に描きながらさらに白く塗って仕上げた藤の花が、この絵により高潔な印象を与えています。 作者奥文鳴は応挙のすぐれた弟子のひとりです。応挙の業績を文書にして残した人でもあり、後世の応挙研究の貴重な資料となっています。奥文鳴は大乗寺のこの絵には落款に「源貞章」として署名を残しています。 | |
外より藤の間を見る
落款
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